「日本一」の高さを誇り、「三角ビル」の愛称で親しまれてきた新宿住友ビルが今月、開業50年を迎えた。老朽化で取り壊されたり建て替えられたりする名建築もある中、51年目の歴史を刻み始めるビルの歩みを、リノベーションに携わったエンジニアに聞いた。
新宿住友ビルは1974年3月31日、開発が進んでいた新宿新都心の中心に誕生した。三角柱のかたちをしていることから「三角ビル」との愛称で呼ばれ、約210メートルの高さは当時日本一だった。
超高層ビル自体が珍しかった時代。複数の展望レストランを備え、足元の「三角広場」では冬にアイススケートリンク場が設けられたことも。さまざまなイベントが催され、オフィスビルながら、多くの人でにぎわった。管理する住友不動産によると、週末は1日で2万人ほどが押し寄せる時期もあったという。
しかし、次第に超高層ビルは珍しいものではなくなり、老朽化も進んだ。建て替えも検討されたが、リノベーション工事のうえ、再始動することになった。
どうすれば「生きた広場」に戻せるか
「私は、駅伝でいう1区と最終10区を走った人間です」。そう話すのは、住友不動産ビル事業本部のチーフエンジニア、山田武仁さん(65)。約25年間にわたったリニューアル計画で、最初と最後の担当を務めたという。
山田さんによると、96年か…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル